高知県には海に県道があります。
それが、「海の県道278」。
船に乗って対岸まで渡る、今も現役・生活道。
ちょっとした観光気分が味わえる「海の道」。地元のかたの土佐弁を耳にすることもあるでしょう。
決して「映え」は期待しないでください。潮風と海の匂いが感じられる、ごく普通の景色。
たった5分の船旅ですが、「私の好きな四国の景色」の一つ。
今回ご紹介するのは、高知県にある『海の県道278』です。
県営渡船について
いつから県営渡船があったかは不明。
もともと「県民の足を支える船」として乗用車も運搬していたようです。
2025年6月30日までは、ディーゼル船「龍馬」(最大乗船人数110名)が運航。
同年7月から心機一転。
名前も「浦戸」(最大乗船人数57名)に変更され、新しい船体に変わっています。
環境に配慮するため、充電には再生可能エネルギーを利用。完全にすべての動力を電気でまかなう電気船に生まれ変わりました。
これは、一般の乗客が乗る船(定期航路)としては全国初!
「以前より音も静かになった」と係員さんが教えてくれましたが、時折、船らしさを感じる音も聞こえるでしょう。
1972年(昭和47年)7月に浦戸湾口に三里地区と浦戸地区を結ぶ浦大橋が完成し、浦戸湾を挟んだ自動車交通の多くは浦戸大橋を利用することとなったことから県営渡船の利用は減少しました。しかし、人や自転車などはこれまでどおり渡船を利用することが多く、地域の足として重要な役割を担い、無料による渡船の運航が続けられてきました。ただ、1980年(昭和50年)代後半からは造船業の不況により通勤者も徐々に少なくなり、利用者の減少が顕著になってきているところです。
現在の県営渡船は、浦戸大橋が無料開放となった2002年(平成14年)7月12日から車両の乗船を制限し、一隻体制によるバイク(125cc以下)の乗船可で運航しています。2024年(令和6年)度の乗船人数は年間約39千人で、浦戸大橋開通前の年間635千人に比べると、利用者が約1/16以下となっています。なお、2004年(平成16年)4月1日から運航は民間委託となりましたが、今までどおり県営渡船として無料で運航を行っています。
引用元:高知県 長浜種崎間県営渡船のご案内 渡船のあらまし より一部抜粋
アクセス

出典元:雪蹊寺前の看板
「海の県道」は長浜と種崎の間を結んでいます。乗船場所は2ヶ所。
・長浜渡船場
・種崎渡船場
長浜渡船場
種崎渡船場
海の県道278
・乗船時間は約5分で、無料。
・乗れるのは、
・自転車
・原動機付自転車
・125cc以下の小型自動2輪車
時刻表(注意点あり)
「時間の確認不足」で私は乗れないこともあったため、注意点も交えますね。

乗船場所による
【平日】
◯長浜港だと、日中(9時ー17時)は毎時00分発。
バイクの台数・乗船人数によりますが、その時間に余裕を見て来た方がいいです。
◯種崎から乗って往復するなら、日中(9時ー16時)は毎時10分発。
同じ船に乗るには、50分後。次の出航まで港町を散策することができますね。
◯平日と日曜で、時刻表が少し違います。
いずれにしても、基本的に9時台ー16時台は便数が少なめ。1時間に1回の運航と覚えておくといいですよ。
【日曜】
【4ヶ国語対応時刻表】
英語・中国語・韓国語・台湾語の表示あり。
県営渡船は生活に密着した船。朝夕の時間帯は地元の方が通勤&通学で使うことが多いはず。
観光目的の場合は日中にするといいかも?
県営渡船は、団体客や学校行事での活用も積極的に協力させていただきますのでご一報ください。
※最大乗船人数: 57名
一般の方の乗船もございますので、団体でご乗船の際は事前に連絡をお願いします。引用元:高知県 長浜種崎間県営渡船のご案内 渡船のあらまし より一部抜粋
乗ってみた
私は「短時間で往復乗船したかった」ので、長浜渡船場を目指しました。
左側がトイレ、待合所内には自動販売機&テレビ、
ガイドブックも置いていました。
乗船料は無料ですが、
乗れるバイク(125cc以下)の台数は6台まで。
2輪車は必ず降りてから乗船しましょう。
長浜から種崎へ
出航時間が来たので、乗りこみます。船なのに、道路標識があるのがやたら新鮮!
自転車とバイクは置くエリアが決まっています。(2階には上がれません)
車椅子マークの優先席もあり、
今は任意のようですが、
救命胴衣も用意されています。(12歳以下は着用義務あり)
係員さんがガラガラとゲートを閉め終わると、
種崎に向けて出航!
長浜周辺から、
少しずつ遠ざかり、
ごく普通の海景色ですが、
ここは「海の県道278」。
前方に白く見える橋は、
種崎と桂浜をつなぐ、浦戸大橋。
いつの間に種崎が近くなっていて、
着岸時にはライト&音で知らせてくれます。
港と船をつなぐゲートが下がりはじめ、
奥では別の係員さんが港の入口を開ける姿も。
では、一旦種崎へ上陸します!
種崎から長浜へ
同じ船に乗って戻るものの、待合所をのぞいてみると、
奥にトイレがありました。
長浜へ戻るため、同じ船に乗りこみます。
行きと同様、係員さんがゲートを閉めたら出航!
沖へ向かう船も行き交い、
気がつけば、渡船場がすでに小さく。
「海のなかに県道」ってなんか不思議。貴重な体験だと思いませんか?
ボーっと景色を眺めているうちに、
渡船場が近くなっていました。
無事に到着したので、
「陸の県道278」へ。
短時間ではありますが、わくわく感&地元感あふれる「海の県道278」。
周辺観光
種崎周辺
この先歩いて15分ほどの場所には、種崎海水浴場&千松公園があります。
浦戸大橋を越えると、
高知県立坂本龍馬記念館や桂浜、桂浜水族館も。
長浜周辺
お遍路さんなら無料休憩所で休んで、
『四国霊場第33番札所雪蹊寺』へ行くでしょう。
周辺の宿
まとめ:海の県道
実際、船に乗ってみるとわかります。
「海の県道278」は、生活道。今も通勤・通学に使われており、人々の生活を支える海の道。
潮風や海の匂いとともに、飾り気のない日常が感じられるでしょう。
たった5分の船旅ですが、「私の好きな四国の景色」の一つ。
今回は、高知県にある『海の県道278』をご紹介してみました。